西大寺東門のやや北東に鎮座する石落神社です。こちらの場所は西大寺境内の飛び地であり、仁治3年(1242)に叡尊(興正菩薩叡尊上人)が三輪から少彦名命石落神の秘薬により施薬院を構えて「豊心丹」をつくり、東門の地を択んで社を建て、石落神を祀ったと記されています。
本殿の建立は室町時代中頃と考えられており、正面に階段を設けず、一面に床を張る「春日見棚造り」。装飾の少ない簡素な建物です。奈良に多い見世棚造小社殿の中でも年代の特に古いものとして貴重なもので、奈良市指定文化財に指定されています(指定日 昭和63年3月3日)。昭和57年(1982)に保存修理が行われ、瓦葺から桧皮葺に復原されました。
路線経路と周辺マップ
石落神社 入口
奈良市指定文化財
奈良市教育委員会
西大寺石落神社本殿
春日見世棚造、檜皮葺
室町時代
昭和六十三年三月三日指定
鎌倉時代に西大寺を再興した叡尊は、石落神(少彦名命)から薬の製法を授かり、多くの病人を救うとともに、この辺りに石落神を祭ったと伝わっています。その薬・豊心丹はわが国最古の売薬ともいわれ、昭和前期頃まで寺で製造販売していました。
本殿は、西大寺の飛地に建つ小規模な春日造(切妻)の正面に庇が付く神社本殿形式)です。正面に階段がなく、床を張るだけの、見世棚造と呼ばれる簡素な形式です。
装飾が少なく、部材に大きな面取りを施し、垂木に反り増しを付けるなど、全体に古式で、風蝕も大きいことから、十五世紀頃の建立とみられます。
見世棚造の小社殿の中でも特に古く、貴重です。
【鳥居】
鳥居から境内の様子。まっすぐ向こうに本殿が祀られています。
【手水鉢】
鳥居手前に立入り禁止の竹があるので中には入れませんでした。
【本殿】
遠目からでも本殿に階段が付いていないことが分かります。質素で土台の上に組まれただけですが、室町時代建立とされ、歴史のある社殿です。
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